勉強会報告:「自然環境に関連した市民活動についてのアンケート調査結果について」2025/7/31

環境保全団体の活動のリソース(人・資金)確保に必要な「連携」に繋げるために、千葉県北部で活動しているWebアンケートを行った結果を報告いただきました。

■日 時|2025年7月31日(木) 20:00~21:30
■形 式|オンライン

■勉強会概要|

(発表内容)

  • アンケート結果
    • 千葉県北部で活動する28団体から回答を得た。多くの団体は50名以下で構成され、会員は市町内在住者が中心で、60代以上が多数を占め、30代以下は少ない傾向。一方、過去5年以内の新規参加者が2割以上いる団体も多く、その多くが50代以下であった。
    • イベントは数十名規模で開催され、市町内だけでなく他市町村や県外からの参加も見られた。参加者の半数が10代以下のイベントも多く、子どもの参加が活発である。
    • 資金は企業や財団の助成金のほか、受託事業、寄付金、会費、参加費で賄われており、備品整備やイベント経費などに充てられていた。
    • 企業連携は、すでに実施している団体も複数あり、資金提供だけでなく協働の事例も見られた。一方、関心はあるが未実施の団体も半数以上あった。連携にあたっては、団体の目的と企業の方針が一致することが重視されていた。
    • 地域間連携を実施している団体が多く、知見・人材・技術の共有や、共同プロジェクトが行われていた。
    • 今後に向けて、首都圏からの会員受け入れやリピート率向上、流域や生態系を意識した広域ネットワークの形成が期待されている。
  • 連携のあり方についての提案
    • 企業連携:企業が関われる範囲で現場に参加できる形が望ましい。助成金は使途の制約を緩めることで団体の支援に資する。
    • 地域間連携:都市部参加者の動機に応じた広報や企画が効果的。広域連携によりノウハウ共有と人材確保が可能。
    • 全国連携:資金調達など運営ノウハウの共有ができるとよい。

 

(意見交換)

  • 企業と団体の「win-winな関係」とは、企業にはCSRやブランディングのメリットがあり、団体には資金や人材面での支援が得られる関係が望ましいという意見があった。
  • 関東に本社を持つ企業は連携しやすく、特にCSRに積極的な企業が分かる仕組みがあるとよいとの指摘もあった。
  • 企業に対して、団体側が出来ることを提案する資料を用意することが有効。
  • 団体は一時的な支援よりも、継続的に関わる人を求めている傾向が強い。
  • 機材や軽トラックの共有ができると活動の助けになる。農家や企業との連携、工務店のレンタル事業による連携等が期待される。
  • 県内のボランティアナビなどをボランティア募集に活用している団体では、やる気のある若年層の参加も多いとの報告があった。
  • 富里市では谷津に関わる4団体が機材・人材を融通し合い、新規会員の獲得や共同資金調達にも発展している。
  • 無償のボランティアには限界があり、特に会計や事務は多くの時間を割いている。日当・交通費を支給する団体もある。資金調達する上で、参加費徴収も重要とされた。
  • 企業と想いが同じ方が連携しやすいという意見について、団体が守りたいものを掲げるだけでは、よほど保全意識の強い自然が重要だと思う企業でないと本当の想いの共有はできないため、団体側が参加のきっかけを多様にするなど、寄り添う姿勢や工夫も必要。
  • 服装や準備の不安に対しては情報提供が重要だが、すべて用意すると「お客さん化」してしまい、想いを共有するパートナーになりにくくなる懸念も示された。
  • NPO運営の相談に応じる企業の事例や、助成金申請にAIや専門人材を活用する提案もあった。

■事務局コメント|

アンケート結果の報告に留まらず、勉強会に参加されている市民団体の方から、リソース不足という課題を巡る実態(課題感や工夫していることなど)について共有いただくことができ、市民団体のリソース(人・資金)を巡る事情について理解の深まる勉強会だったと思います。

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