勉強会報告:「居場所づくりと里山」2025/5/30

今回の里山グリーンインフラ勉強会は、「居場所づくりと里山」と題して、平野希さん(遊び場まんでい)、山崎卓さん(NPO富里のホタル)にお話しいただきました。

■日 時|2025年5月30日(金) 20:00~21:30
■形 式|オンライン

■勉強会概要|
学校や家庭とは別に、友達と安心して過ごせる「居場所」があることは、子どもたちの健やかな成長にとって、とても大切です。また、大人にとっても、日常から少し離れてリフレッシュしたり、新しい人と出会ったりできる場所は、心を豊かにする大切な空間です。
今回は、そんな「居場所」としての谷津(やつ)の可能性に注目し、ゲストとしてお招きした平野さん、山崎さんに千葉県富里市での取り組みを紹介いただき、参加者のみなさんと一緒に意見交換をしました。

●「遊び場まんでい」での活動紹介 平野希さん(遊び場まんでい)
元々は富里市の市民活動サポートセンターのまちづくりコーディネーターをやっていた。
新型コロナウイルスの流行があり、机に座って日々仕事をする中で、自分でも何かできないかという思いがあった。そんな中、知り合いの方から提供していただけると申し出いただいたスペースを利用して、居場所空間をオープンすることを決意した。地域の居場所として利用してもらい、子供たちが気軽に遊びに来られる場、課題を抱える方々との情報交換の場として、また、事業者が地域貢献のためにできることの実践の場として、「遊び場まんでい」をスタートした。
子供たちのカフェ運営体験や、地域の大人が地域の子供を育てる枠組みとして、寄付箱で集金したお金を活用した子供へのジュースの提供、地域の公園でのイベント、養蜂体験などの活動をしている。
また、「こどもの居場所ネットワークとみさと」という活動を地域の方々と一緒に実施している。子ども食堂や里山など、「こどもの居場所」というテーマに関連する話し合いや情報共有をしている。
活動をする中で、地域内外の様々な団体の方や専門家の方などとのつながりを広げている。必要な時に人と人をつなげることも、居場所づくりの運営者の一つの役割と思っている。
「遊び場まんでい」を継続できているマインドセットとして、
・難しいステップを楽しく軽々しくやる
・適切なかじ取りのための地域交流と情報交換が大事
・イベント化ではなく、日常に存在する努力をする
・やっていることが違っても、ゴールが同じなら、それぞれの存在感をしっかり感じたいし、つながっているんだからという安心感を持っていたい
などがある。

GUEST:「こどもの居場所ネットワークとみさと」、「富里国際交流協会」の方々

●「居場所づくり」と里やま 山崎さん(NPO富里のホタル)
NPO富里のホタルでは、富里市内の5か所の谷津等で環境保全、モニタリング、啓発活動などの活動をしている。谷津は昔の貴重な自然が残されている空間である。

【里やま塾】
「谷津の春をつまみ食い」、「田植え体験」などの企画を実施しており、子供たちを中心に谷津を経験してもらっている。大人から子供まで五感で里山を感じていただくことをイベント化しているが、これが一つの居場所になっていると考える。
【出前授業】
幼稚園児を対象に、教室等で生き物に親しんでもらう取り組みも実施している。言い換えると、将来の居場所として里山を選んでもらえるための活動ということもできる。
【里山で里(り)楽(らっく)’s(す)しよう!】
年間パッケージとして年間通して活動に加わってもらうという考え方の取り組みである。里やま塾は子供たちとその親をターゲットとした取り組みであるが、この取組は、企業の福利厚生などをイメージした取組である。普段はデスクワークをしている方や、田舎を持たない方、農業や里山に興味はあるがなかなか来れない方々などをターゲットと考えている。
企業の行きつけの場所になるような取組を目指している。

これらの取組に共通していることとして、難しいことや考え方は表に出さずに、体験して遊ぶこと、学んで楽しむことに尽きると考えており、これ以上のことは積極的に言わないようにしているし、発信するときも難しい言葉は排除するように取り組んでいる。

私たちは環境保全活動をやっている。そこに来た方々がそのフィールドで体験し、五感を養い、楽しみ、リラックスすることで、結果としてそれが大人や子供の居場所になっているという考え方である。「居場所が出来ました」と発信することはなく、来た人がどう感じるかというスタンスでやっている。
里山(具体的な場所)も居場所であるが、原風景・原体験などの記憶、その人が立ち返るところや心の支え(拠り所)も居場所(気持ちの居場所)である。

■意見交換|
「居場所」という非常に広い視点のテーマでしたが、活発に様々な視点からの質疑や意見交換が行われました。意見交換の中では、それぞれの居場所があれば良い、自由に感じるままに感じてほしいと思っている、大人・子供などそれぞれの立場で選択できる居場所があることが大事であるなど、居場所についてはいろいろな捉え方があるといったやり取りがありました。また、里山が居場所となることで、場への愛着が地域の絆や信頼を生み出し、それが里山の保全にもつながる、という形で、地域の里山を守っていく力になるのではないかというコメントがありました。

■事務局コメント|
参加者それぞれの立場や日頃の活動内容によって、捉え方は様々だと思いますが、皆さんにとって、学びの多い、いろいろなことを持って帰ることのできた勉強会だったと思います。

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